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内海聡先生の本「心の病に薬はいらない!」を教えなければよかった

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今日4月8日は、親友チヒロの誕生日です。10年前の34歳でこの世を去ったので、生きていたら今日で44歳。

友達の中で一番早く誕生日がきていたので、誰よりも早く1歳年を取って、大人になって、結婚して、子供を産んで、離婚して、シングルマザーになって、病気で苦しんで、この世からいなくなったチヒロの人生。亡くなって10年経った今でも、彼女の存在は濃く心に残っています。

そんな大切な今日、私がチヒロに謝りたいことを書きたいと思います。

目次

内海聡(うつみん)の本をおすすめした後悔

精神疾患、向精神薬、ワクチンなどに対してアンチテーゼを説いている有名人の筆頭でもある、医師の「内海聡(うつみさとる)先生」。

このブログを読んでいる方の中には、内海先生のことをご存知の方も多いと思います。

今回は、内海聡先生の本を親友チヒロに教えなければよかった、という話です。

※私はうつみんアンチではありません。内海先生のことを尊敬しているからこそ、私と同じ過ちを犯す人が増えてほしくないと願っています。

内海聡先生(うつみん)の本について

精神疾患の診断を受けて向精神薬を飲んでいる人や、ワクチンについて不安に思っている人が情報を得ようとネット検索したら、すぐに名前がヒットするような有名人の「内海聡(うつみさとる)先生」。

お医者さんの中では珍しく、昔から精神薬の危なさを訴え続けている貴重な存在のドクターです。

私自身、これまで内海先生の本はほとんど読んできましたが、精神医療の歴史や怖さ、薬の危なさや減薬断薬の方法など、幅広く知ることができてすごく勉強になりました。

その本の中でも一番読み込んだのは、減薬や断薬の具体的な方法や、精神薬がいかに不要なのかということが書いてある「心の病に薬はいらない!」という本です。

最近気づいたんですが、偶然なのか運命なのかどんな因果かはわかりませんが、チヒロの最期の誕生日になった10年前の4月8日が内海先生のこの本の第1刷発行日でもありました。

内海聡先生の本「心の病に薬はいらない!」

「断薬のことが書いてあるよ」とチヒロに勧めた

2013年の春、私の現パートナー(当時は仕事仲間)自身がパニック障害に苦しんでいて、向精神薬の減薬方法や断薬について調べている頃だったので、私も自分なりに勉強して知識をつけるために手にとったのがこの内海先生の本でした。

同時期にチヒロも向精神薬の副作用で苦しんでいて、ずっと「薬を止めたい」と言っていました。

その頃チヒロがネットで減薬や断薬のことを調べていて、常葉まり子さんのことを書かれたブログを読んだり、アシュトンマニュアルを読んだりしながら、ベンゾジアゼピン系の向精神薬の怖さや減薬や断薬の知識も少しずつつけていました。

だとしたらちょうどこの内海先生の本が役に立つだろう!と思って、チヒロに会った時に「こういう本があるんだよ」と、この内海先生の本を勧めました。完全に善意のつもりで勧めたのですが、それが間違いだったとあとになって気づきました。

精神疾患と向精神薬の副作用に苦しんでいた当時のチヒロにこそ、あのタイミングで内海先生の本を教えたらダメだった、と今でも強く後悔しています。

誰にでもお勧めできない理由

なぜなら、あの頃のチヒロはすでに普通の生活ができないくらい薬の副作用に苦しんでいたからです。

肉体的・精神的に追い詰められている状態のとき、自分が飲んでいる向精神薬が恐ろしいものと説明されている本を読むとどうなるのか、、、

答えは一つです。薬を飲むのが怖くなるに決まっています。

内海聡先生の「心の病に薬はいらない」の本自体は間違いなく良本です。それまで、ドクターという立場であれだけ精神医療や向精神薬の闇を書いてくれている本はありませんでした。

閉ざされていた精神医療の世界に風穴を開けた貴重な存在になったと思います。

薬が怖い、という気持ちが強まる

その反面、こういう内容の本を「病気で苦しんでいる当事者」が読むと、自分が飲んでいる薬が毒にしか思えなくなって、飲むのが怖いと感じるようになって、その結果、怖いという気持ちに襲われて焦って減薬したり断薬してしまいます。

これが、私の「内海先生の本を誰にでもお勧めできない」と言う理由です。

薬が怖いと感じるようになると、これ以上もう飲みたくないと思うようになるし、これまで漫然と薬を飲み続けてきたことに深い後悔をします。

そうなると、どんどんと「薬を早く身体から抜きたい」という思いが強くなります。でも、向精神薬の副作用が強いことと同等に、もしかしたらそれ以上に、自己判断で急いで減薬や断薬をすることのほうが危ないと思っています。

早く減薬断薬したいと焦る

そして、当たり前ですがすごく焦るんです。

内海先生の本の中でも、減薬や断薬をすることはとても大変でハードルが高いことは書かれています。それでも、減薬や断薬をしてでてくる離脱症状の辛さなんて、実際に経験しないとわからないんですよね。

私は向精神薬を飲んだことがないので、飲んだ時の副作用の辛さや、ましてや減薬断薬したときの離脱症状の苦しさを体験していません。

ただ、パートナーが一気断薬した結果、8年以上も離脱症状で苦しんでいる姿を見てきているので、どれだけ減薬断薬するときに注意が必要なのか痛いほど知っています。

減薬や断薬をしたらダメではなく、焦ると絶対に失敗するということを知っておくことと、想像以上に離脱症状に苦しむことも頭に入れておくことが大切です。

答えは本の中にはない

内海先生の本を読むと、ついそこに書いてあることがすべて正しくて、その通りにしたら病気が治ると錯覚します。

でもこれはとても危険なことです。

内海先生自身も警鐘を鳴らしていることですが、何に対しても「依存してはいけない」というのが大前提になります。

つい病気や困ったときには何かにすがったり、答えを求めたりしますが、世の中に溢れている情報っていうのは玉石混交。良いものと悪いものが混ざっているし、そもそも会う合わないもあります。

誰かが「良い」と言ったから自分にも良いはずという盲信はとても危険で、あくまでも情報のひとつであって、それを自分が取り入れるのか入れないのかを考えることが大切になります。

医療も、きっとみなさん「薬を飲んだら治る」と信じていたから病院に行って、でも飲み始めて体調が悪くなったら「薬のせい」と薬を悪者扱いして、治るためにサプリを飲んでサプリで体調崩して、糖質制限して痩せたけど体力が落ちて、、、
ということを永遠と繰り返すことになります。

とにかく、世の中に溢れている情報(私のこのブログも含め)を鵜呑みにする前に、「本当にこれって正しいのかな?」と疑ってみたり、「今の自分に必要かな?」と考えてみたり、自分フィルターにかけることが大切だと思います。

うつみ先生の本も然りです。

私がチヒロに、あのタイミングで内海先生の本を教えなければよかったと後悔しているのは、あの頃のチヒロには「自分の頭で考える」という余裕がなかったからです。

フィジカルもメンタルもボロボロな状態のときの外的情報は、時として毒にもなります。(内海先生の本が毒という意味ではありません)

闘病する環境を作るのが先

じゃあ、治りたい人はどうすればいいの?

ということになると思いますが、闘病、減薬、断薬、離脱症状を乗り越えるために一番大切なのは「環境」だと思っています。

これは、私が長年闘病していてるパートナーを見てきて確信したことです。

そもそも病気になったのも、無理して頑張りすぎた結果身体が壊れたからです。ということは、身体を休めてあげることが最優先になるはずなんです。

でも、そんな簡単に休めるわけないのも十分わかります。学校だったり、仕事だったりもですが、家事や育児には休みがありません。なので、せめて今の状況が少しでも楽になる方法をみなさんには模索してほしいです。

たとえば、一人暮らししているなら実家に帰るとか、仕事は休業するとかです。そんなのできない、と言い無理を続けていて、結果的に仕事もできない、家事もまともにできない、外にも出れないような生活をせざるを得なくなった人を何人も知っています。

パートナーの彼も、仕事や家庭のストレスでパニック発作が起きてから、生活スタイルはそのままで向精神薬を飲みながら過ごしていました。きつくても薬とアルコールでごまかしながら過ごした数年間で、頑張ろうとすればするほどどんどん体調が悪くなっていっていました。

「病気になる前の普通の生活をしてた頃に戻りたい」

たったそれだけの望みなのに、いまだにその願いは叶えられずにいます。

なので、何度も繰り返しでくどいですが、大切なので何回も言います。休んでください。一回しっかり休んでください。そのための環境をなんとか作ってください。

闘病中・家族のみなさんへ

病気で苦しんでいる当事者の方もいれば、家族や友達、恋人が精神疾患という方もいるかと思います。そして、これまでに嫌というほど精神医療のことや向精神薬のこと、減薬や断薬のことをたくさん調べているはずです。

その誰もが願っていることはたったひとつ

「元気になりたい」

仕事も勉強も遊びも、元気になればいつだってまたやり直せます。闘病中に家族や友達に迷惑をかけてしまうと思うかもしれませんが、元気になったら、今度はその人たちが困った時に恩返しをすればいいだけです。

アントニオ猪木さんの有名なセリフのひとつ「元気があれば何でもできる」は、本当にその通りです。元気が無いと何もできないというわけではなく、まずは今より少しでも元気になることを目標に生きましょう。

ひとりで頑張りすぎて、我慢しすぎたら、いつか限界がきます。

私の親友チヒロはひとりで頑張りすぎて心身を壊してしまって、周囲に助けを求めたかったはずなのにそれも我慢していました。そして、苦しみに耐えられずに命を絶ちました。

チヒロの死後、彼女の残したノートに「誰かに話を聞いてもらいたい」と書かれていたのを見て愕然としました。私を含め、誰ひとり彼女のチカラになってなかったことを痛感しました。

親友だったはずなのにそれは表面だけのもので、チヒロがどれだけ苦しんでいたか何にもわかってませんでした。

周囲に迷惑をかけたくないからと我慢して、私はそのSOSに気づかず(自分のことが忙しいと気づかないフリをしていただけ)助かるチャンスも絶対にあったはずなのに、それを逃してしまった結果、チヒロは死んだと思っています。

まとめ

当事者が知識をつけることが大切、というのが内海先生の意見です。たしかに一理あります。自分の身を守るためには正しい知識をつけることが必要なことはわかります。

でもすでに身体と心が弱っている人は、自力で回復することはとても難しいです。

闘病中の人が情報の渦に巻き込まれて間違った判断をしかねない以上、情報を入れるということに対してすごくすごく注意が必要だと思っています。ネットで情報を集めたり本を読むのなんて、言ってしまえば自分に余裕がでてからでも良いと思っています。

内海先生の本を読んで勉強したり、ネットで調べたり、闘病ができる環境を作ってあげたり、そういうことは当事者ではなくて、周囲にいる家族や恋人や友達がしてあげること。

助けてもらう、助けてあげるという依存関係になってもダメなので、その部分はとても難しいですが。私自身、パートナーに対してまだまだ失敗を繰り返している途中ですが、こうやって考えることが大切だと思っています。

今日がチヒロの誕生日ということもあって、あえて私が後悔している「闘病中の人に情報を得えてしまうデメリット」について書きました。

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